Kanji: a miniature map of the world

趣味で隷書を書いている祖父が作品の解説をしてくれた。

隷書だと、漢字の不思議な力がなんというか希釈されず、蠢いている感じがする。。杉浦康平さんの『文字の霊力』にだいぶ影響されているが、漢字は世界の一つの縮図だと思う。

石川九楊氏が『筆触の構造』で、漢字は文字ではなくむしろ単語に近いと言っていたのを思い出す。

一体なんでこんな形に?という文字が多くて、祖父が白川静『字統』も出してきてくれてつい読み耽ってしまった。

あみだくじみたいな「用」はもとは生贄の獣を入れておくための柵を表していたらしい。

その『字統』に、哲学者の梅原猛氏による追悼文の切り抜きが挟んであった。

記事によれば、立命館が大学闘争で閉鎖されたときも白川研究室は明かりがついていて、学生も押し入れない聖域のような場所だったらしい。

氏の功績をニーチェのそれになぞらえているのも興味深かった。梅原氏によれば、ニーチェはそれまで論理的世界とされていた古代ギリシアに論理で割り切れないディオニソス的な要素があったと主張して、古代ギリシアに対する見方を変えた。同様に白川氏も古代中国に対する見方をたった一人で変えてしまったと評価している。白川氏は、漢字には古代中国の人の霊的なものに対する畏れや敬意が込められていることを発見したとされている。

そういえばいま、中国でも漢字研究には白川氏の辞書が使われている(海賊版もたくさん出ている、、)と、(字統、字訓、字通のブックデザインが代表作の一つである)社長から聞いたばかり。

それから別の追悼記事で、阿辻哲治氏は白川氏が漢字学を考古学、民俗学と接続して横断的に研究していたことを指摘していた。今でこそ当たり前のように思える、分野横断的なアプローチの先駆者でもあったのだ。。

前に母が「バッハより後の時代に生まれてよかった」と言っていたけど、白川さんより後に生まれたこともものすごく有難いことのような気がしてきた。大好きな祖父の後に孫として生まれたことも:)